キレながら遊ぶ

院生エンジニアのインプット用アウトプット

大学院総括(2年生嫌究編)

本記事は前回の続きです.

前回までのあらすじ

大学院生を迎え研究に本腰を入れるだろうと自分でも思っていたイワケロ君を待っていたのは,自分の弱さそのものだった.目標を見失った研究を前にイワケロ君は現実から逃げ,楽な坂へ転がり続ける毎日.就活という「研究免除手形」も使い切った時,大学院生活は嫌究編へと突入する.

嫌究編

M2とは書いていますが,便宜上M1の2月から書こうと思います.

M1の2月は先輩も修士論文発表が終わり,遂に自分の番となりました.自分自身の修論発表まで1年を切ったという事実は焦りを生み,指導教員との関係性も露骨に悪化が進みます.逃げ続けた1年も終わり,流石に現実と向き合うときがやってきました.

そして僕は……

qiita.com

GoogleAppsScriptを触っていました.まだその時ではなかったようです.

僕は研究室内で電子マネーを実装しSlack上で購買を運営していました.ゼロスタートから実際のユーザーの声を聞きながら機能追加や改修を行う毎日は本当に楽しかったです.GASに関しては応答速度の改善のためキャッシュや非同期処理を実装するなど,結構カリカリできました.

f:id:zensai3805:20190302152024p:plain:w500

この時期はJPHACKS2017でスポンサー賞を頂けた富士フイルムにお邪魔したのもとても良い機会でした.僕は愚かにも服装規定を読んでおらず私服で参加してしまいましたが,「飛行機の荷物事故で今スーツが台湾にある」という方便を使いました.同じ状況に陥った方にはオススメです.

f:id:zensai3805:20190323235627j:plain

僕は現場で働いている方に質問をするのが好きなのですが,富士フイルムの人事やエンジニアの方は本当にどんな質問にも答えていただけました.医療分野で画像認識等の機械学習技術を導入したい想いやしがらみの話が特に面白かったです。

そして大学院2年生,遂に研究編が始まります.

研究編

ここからは修士における研究を総括したいと思います。サーベイ自体は長く進めていたので、4月以降は流石に指導教員との研究の話に実が出始めました。お互いに「決めなきゃ」ムードが出ていたのは否定できませんが,研究分野について引用繋がりも含め広く読む事で,頭の中で地図が作られていったことが良い議論に繋がっていったなとも感じています.

仮にこの記事を読んでおり,研究テーマに悩み先に進めない方がいましたら,僕個人の意見ではありますが、決めてしまう事が大切だと伝えたいです.指導教員との少ない時間を研究テーマ策定の足踏みに使ってしまうのであれば,テーマ自体が問題を孕んでいようとも先に決め、始めてから悩んだ方が有意義です。それでも安易にテーマ策定が怖いという事であれば,指導教員との時間は「テーマを何にするか」ではなく,「今のテーマはどこを解決すれば(or どういう状況なら)研究として使えるか」の方に軸をズラすのも良いと思います.

これは堂々と言う事でもないかもしれませんが、多くの問題は背景や想定する状況設定を工夫すれば逃げられる事も多く、そのノウハウを実は指導教員の方々は持っています。そして、その逃げは大抵の場合学生が感じる程卑怯な事でもありません。

指導教員の方々は必ずしも教え導くプロではありませんが、少なくとも研究のプロではあるため、彼らのリソースをどこに当てるかを考えるのが大切だと学びました。

僕が研究生活に関して致命的だと思っているのが,手段が目的になる闇へ突入しやすいタイプである事です.酷い時は実験環境を構築するためのKubernetes環境を構築するためにRTX1200のトンネリングに四苦八苦する始末でした.研究の特性上実環境の構築が必須のため仕方ない面もありますが,まずは最小要件から実験のスターティングポイントを置く事は精神安定上も良かったです.

指導教員との人間関係については,僕の研究進捗が悪いと僕の研究相談を避けるために日常会話も露骨に無視されるなど結構辛い所もありました.しかし,修士論文初稿が大量の手書き赤ペンが入って返ってきた時はこの人で良かったなと思えたのを覚えています.赤が入った論文とスライドの紙は引っ越した今も捨てていません.

コレは話が逸れますが,年末年始比較的辛かった頃,VR研究者の白井暁彦博士の以下から続くpostに強く励まされたのを覚えています.

研究室には欠かさず行っていましたが,同じ分野で研究相談のできる同期もおらず,指導教員と話もできない孤独感の中で,最後の一文に勝手に力を与えていただけました.もしお会いできる機会があれば,是非お礼をさせて頂きたいと思っています.

僕の大学院生活は研究成果として大きなものを残せた訳ではありませんが,会社,友人や仲間との大切な出会いがありました.上手い締めも思いつきませんが,褒められたモノでなくとも価値のある最後の学生2年を過ごせたかなとは思っています.

4月から都内のインターネットサービス会社で働いているので,是非飲みや食事など声をかけてください.よろしくね.

このブログももうちょっと更新せねばと思っており,予定としては

  1. PythonでCgroupsを触るベストプラクティス
  2. 変わるSlack APIに既存GASコードを対応させた

辺りを書きたいと思っています.なんだかんだこの記事も1ヶ月近くかかったので,予定は未定って感じてすかね.

追記:研究の相談について乗れる事はありませんが,北海道(地方)から東京での就職活動の話などは結構乗れると思うので,Twitter等で気軽に声をかけてください.