キレながら遊ぶ

院生エンジニアのインプット用アウトプット

大学院総括(2年生嫌究編)

本記事は前回の続きです.

前回までのあらすじ

大学院生を迎え研究に本腰を入れるだろうと自分でも思っていたイワケロ君を待っていたのは,自分の弱さそのものだった.目標を見失った研究を前にイワケロ君は現実から逃げ,楽な坂へ転がり続ける毎日.就活という「研究免除手形」も使い切った時,大学院生活は嫌究編へと突入する.

嫌究編

M2とは書いていますが,便宜上M1の2月から書こうと思います.

M1の2月は先輩も修士論文発表が終わり,遂に自分の番となりました.自分自身の修論発表まで1年を切ったという事実は焦りを生み,指導教員との関係性も露骨に悪化が進みます.逃げ続けた1年も終わり,流石に現実と向き合うときがやってきました.

そして僕は……

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大学院総括(1年生現実逃避編)

ブログも作ったは良いものの,そのまま修士論文の魔境へ突入してしまいました. 修士研究はやはり楽には行きませんでしたが,最終的にはそこまで酷くはないかなという所に着地しました.

せっかくなので,大学院の生活を総括しておこうかと思います.

僕の大学院生活は早々に研究から目を逸らして違う方面へ行ってしまったため,研究者として良いものではありませんでした.ある意味では目論見通りに卒業ができましたが,一方で研究者としてのバックボーンの薄さは結構響くなと感じている所です.

M1の思い出

M1は想定以上に授業や課題が多く,以外と暇じゃないなと思ったのを覚えています.

4月頃にOpenStackが稼働していた研究室クラスターの再構築を担当しました.Storage Nodeの故障によゼロから再構築となりました.当時は卒業研究が完全に目的(やりがい)を見失う状況を招いており苦しく,無関係なタスクは正直有り難かったのです.作業としてはVPNの設定やOSの基礎まで勉強にはなりましたが,時間としては結構失うものは大きかったです.

1台1台設定していたあのころ.

7月頃は研究室Webサイトと情報ポータルサイトの構築を担当し,構築の基礎からセキュリティまで浅く勉強することができました.本学のセキュリティを担当する教授が非常にチェックが厳しく,問題点を隅々指摘していただけたのは本当に勉強になりました.ただ,この辺から研究に関する焦りも広がり,研究室の仕事がスタックしていく状況に内心逆ギレしていたのを覚えています.

9月頃がひとつの転機となりますが,就活を始めました.サポーターズの逆求人のイベントに特に目的もなく参加をしましたが,比較的共感をいただくことができ,動いてみようかなという気持ちになりました.結果3社で面接を進め2社から内定を頂きました.残り1社は面接合格の通達の後連絡が途絶えており,選考や重要連絡ミスが重なったためこちらも連絡していません.

体重も結構たいへんでした.

10月頃は就活と並行して,JPHACKS 2017に参加しました.チームメイトが引き続き優秀だったこともあり,2年連続で全国大会へ参加できた事は貴重な経験になりました.ただこのイベントは審査基準が審査員の基準により大きく変わり,特に人事の方々の基準がよく分からないためハッカソンと言うよりは就活イベントと割り切った方が良さそうです.

1月頃以降はそろそろ研究に向き合う訳ですが,やりがいを見失ったままここまで来たのもあり,さてどうしたものかという感じでした.

これまでの総括としては,研究しない割に結構色々できて楽しかったけど,研究が進まないのは人権的なバックボーンが後ろから刺してきて辛いよって所です.良かった所は,行動した結果今の内定先に巡り会えたことや,友人も増えた所でしょうか.

一方准教授との関係は相当に怪しくなっていたこの辺で,大学院総括(2年生嫌究編)へ続きます.

札幌HoloLensミートアップ vol.3に参加しました

hololens.connpass.com

お世話になった方に誘われ,先日札幌HoloLensミートアップ(秋編)に参加してきました。僕自身はVRは完全に受け取り側の認識ですが,おもしろ話や体験に惹かれました。

バーチャルキャスト

まずはバーチャルキャスト代表取締役の方のバーチャルプレゼンをお聞きしました。恥ずかしながらVCが札幌の企業とは知りませんでしたが,KMNZの地上波番組や先日のTGSGREEブースでシステム自体はなんとなく知っていました。

VCの強みは個人的に「今既にここまで形になっている事」だと思っていて,ドワンゴとの提携の経緯から速さの理由を知られて面白かったです。

網膜走査型レーザーアイウェア(QDレーザ)

興奮しすぎて写真を撮り忘れたのですが,体験したのは以下のデバイスです。 www.moguravr.com

網膜に直接レーザーを照射し映像を見せる技術とそのメガネ型デバイスで,QDレーザが開発と販売を行なっています。 www.qdlaser.com

何より感動したのが,既存のスマートグラスやHMDとの根本的な違いです。先ほど挙げたデバイスは映像に目が焦点を合わせており,スマートグラスの場合映像に焦点を合わせると外の光景に焦点が合いません。一方網膜走査型は盲目に直接投影しており,焦点の距離に影響を受けません。

実際体験してみると,手元であったり遠くの景色を見ながらも,片目で初音ミクが踊っている映像をハッキリと視覚する事ができました。また映像背景の黒は光として投影されないため,視界では透明に映ります。

応用として視力の著しく低下した方に対してカメラ映像を直接投影する次世代眼鏡としての方向などもお聞きし,まるで小学生のように興奮していました。

現状挙げられる課題としては,水晶体レンズ中央に照射する必要があるためにデバイスをかける位置に大きな影響を受ける点です。水晶体の位置をトラッキングしようとするとその分デバイスが大きくなるなど,まだ悩ましい点も残っているようです。

個人的にはEver17というゲームの空というヒロインを思い出し感動していました。彼女はレジャー施設の案内用AIであり,施設内に張り巡らされた装置から観客全員に自分の姿を網膜照射で見せている架空の存在です。早くそんな時代になりませんかね。

空中力覚の体験

こちらは手に持つ事で押されている,又は引っ張られている錯覚を感じるデバイスです。

人間の感じる加速度はある閾値から急激に上げる/下がるそうで,振動の加速度を前後で差を作ることによって,一方向への加速度の身を感じるようになるそうです。

僕も体験してみた所,特に演技でもなく身体がよろめくほどの力を感じました。流石に他の人でそこまでの反応をされている方はいらっしゃいませんでしたが,応用例として回転であったりより複雑な力も感じられる展望もあるようです。

比較的強い振動を受ける必要がある点が幾分かの障害に感じましたが,航空エンジンの修理等振動が自然な状況を想定する方向性も考えられるとの意見をいただきました。

最後に

特に記事にするつもりが無かったために写真が少なかったのが悔やまれますが,他にもペンギンの群れを扱ったVRや純粋なHoloLensの体験なども行いました。

イベント自体は講演・体験共にエンタメから医療までバラエティに溢れており,とても楽しむことができました。これからも専門と離れたイベントもどんどん参加していけたらいいな。

さいごに美味しかったピザの写真を。

自分の紹介

まずは記事を1つ書くのが大切ということで,プロフィール記事です。僕は現在(2018年10月現在)情報理工学を専攻する大学院生です。

横に広げてもアレなので,研究とハッカソン系に絞ってみました。

専門について

研究トピックとしては,

  • 分散並列処理(Hadoop/Spark)とリソース制御
    • 並列分散処理のStruggling TasksのCgroupsのリソース制御を用いた検証と再現(B4/M1)
  • 分散深層学習(Distributed SGD, Parameter Server)
    • データ並列の同期型分散機械学習におけるリソーススケジューリングの導入(M2)

を研究に扱っています。

分散並列処理とリソース制御の研究

並列分散処理におけるStruggling Tasks(遅くて他の足を引っ張る奴)を汎用的に発生させられるフレームワークを提案しようという研究です。仕組みとしてHadoopタスクをDockerコンテナで包み込む技術やCgroupsによるリソース制御を採用しました。正直研究としては背景と目的が定まっていない「やってみよう!」研究に終始してしまった印象です。

学んだ事を挙げるとすれば,

  • Sparkの研究をしたいならYarnは要らない
  • 低レイヤーの研究は間に多くを噛ませてはならない(振り回される)
  • OSSはバグが多いのでやり切るならCommitするくらいの覚悟がないと大火傷をする

とかでしょうか。ただカーネル機能や細かいリソース制御等の基礎から,大規模システムのエラーログと戦う経験は血肉にはなった気がします。

分散深層学習の研究

現在は分散深層学習の最適化の研究を行なっています。データ並列型の分散深層学習の同期(Synchronous)型には遅いworkerが他のworkerを待たせる問題がある訳ですが,これらをリソース再割当によって足並みを揃えさせる研究です。再割当には同一マシン環境下と言う状況が必要な訳ですが,近年はマルチGPU環境が増えているので,そこを対象としています。

JPHACKS(ハッカソン)への参加

ひょんな事からJPHACKと言うハッカソンイベントに平和堂というチームで参加していました。ありがたい事に出場2回共に北海道大会最優秀賞を頂き,AwardDay(決勝)まで進出させていただきました。

JPHACK2016

2016年は脈波センサー情報から酔い具合をグループで可視化し,自己認識と他者からの声かけを可能にするアプリ(のプロト)をチームで作りました。北海道大会最優秀賞,AJSスポンサー賞,イノベーター認定をいただきました。

2日間の開発で動画編集ばかりしていた気がしますが,開発初日の夜に撮影のため飲みに行ったのは楽しい思い出です。

2016.jphacks.com

JPHACK2017

2017年は加速度センサー情報から電車内での動きを記録し,痴漢冤罪の防止に取り組むアプリ(こちらもプロト)をチームで作りました。北海道大会最優秀賞,富士フイルムスポンサー賞をいただきました。

AwardDayでは「腕の動き以外の痴漢もある」等の0か1かの厳しい意見や,加速度センサーの普及の未来が見えない等懐疑的な意見を多数頂き,結構辛い記憶があります。あれから1年トラッキングセンサーが恐ろしい速度で出て価格も落ちてきているので,嬉しいです。

2017.jphacks.com

現在は幸い東京にて内定をいただいており,卒業のため研究をしています。

よろしくお願いしますね。